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映画『Vision』(河瀬直美監督)@OSシネマズ神戸ハーバーランド [映画]

映画『Vision』(河瀬直美監督)
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河瀬直美監督の作品を観るのはこれで5作目になる。今回は音楽を神戸が誇るジャズ・ピアニストの小曽根真が担当するというので家人も行く気になったようだ。もう40年も前彼が高校生だった頃、彼の母親が経営していた音楽事務所で、当時マー坊と呼ばれていた彼からハモンド・オルガンの指導を受けていたらしい。先日、この2月に亡くなられた、これまた神戸が誇るジャズピアニスト・ハモンドオルガン奏者小曽根実氏の追悼コンサートがあり、それにも行っていた。

映画の音楽は、全編彼のピアノ演奏が流れていたわけではなかったので、それは若干物足りなさがあったようだ。それはともかく、今回は河瀬作品のレギュラーといっていい永瀬正敏に加え、『イングリッシュ・ペイシェント』などでオスカーをとっているジュリエット・ビノシュがダブル主演するというのも興味をそそられた。なんでも前作『光』がカンヌで受賞した後のパーティで紹介され、次回作に是非出演したいということでとんとん拍子に決まったらしい。そんなわけでこの不思議なキャストになったそうで、設定に若干の無理を感じるのはそのせいかも。
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舞台は奈良の吉野の山村。主人公の智(永瀬)はそこで山守をしている。街での生活に疲れ、愛犬と暮らしながら、吉野の山の自然を守っている。そこで自分の目や耳、鼻や肌で感じるものだけを信じて。そんな彼のもとにある日フランス人の女性エッセイストであるジャンヌ(ビノシュ)が訪れる。「人類のあらゆる精神的な苦痛を取り去ることができる薬草“ビジョン”」を探しに来たというのだが、智には何のことか分からない。智の家の屋根裏部屋で同居するようになって、一緒に山を回っているうちに心を通わせ…。
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智の守る山林は杉の林でもあり、人工林でもあるのだが、それでも原初の森が残存していて、神秘的で美しい。河瀬作品の森はいつも美しく神秘的であるが、やはり動画でないとこれは表せないななどと愚にもつかないことを考えながら観ていた。千年の時を経て現れるという“ビジョン”とはどういうものかは定かではないが、現代がある種の「終末期」(末法思想のような)であるということなのかなという気もする。村に住む盲目の老女アキ(夏木マリ)は千年の時を生きているかのようにも描かれているが、彼女にはそれが分かっているようだ。
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アキはジャンヌが村を訪れることも分かっていたし、“ビジョン”についても知っているようだったが、そういう預言者的な部分と平行して、20年前に起こった出来事とその後、そして森で倒れていた不思議な青年鈴(岩田剛典)とは、など次第に明らかになってくるのだが、ちょっとこの部分が牽強付会な感じがしてしまうのは私だけだろうか。実際見ている間はジャンヌの脳裏にフラッシュバックのように現れては消える過去の映像に翻弄されて、それらが森の映像と混ざり合って、いつの間にか自分も森の中に居るような気持ちにさせられていたから、それはそれでいいような気もする。
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森は死と再生を繰り返しながら生き続けている。そしてこれからも森は生き続けて行かなくてはならない。人類の歴史が続く限り。河瀬作品はそれを繰り返し伝えようとしているかのようだ。
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<参考記事>
殯の森(2007年)
2つ目の窓(2014年)
あん(2015年)
(2017年)


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